総長様は溺愛も暴走する
幼馴染 【side.悠】
* * *
僕は昔、関西に住んでいた。
僕の家は、まぁ…家庭事情が色々と複雑で、僕はいつも親に放っておかれていたんだ。
だから何をするのも自由だったし、その代わり、両親は僕に責任なんて取らないで、見向きもしなかった。
今思えば、お互いのことで忙しくて、僕に構う暇がなかったとも解釈できるけど…。
そのことに寂しさとかは感じなかった。
ただ、退屈で…よく近所の河川敷で1人遊びをしていた。
朝から晩までずっと。
だから変な奴に絡まれることも多くて、鬱陶しいから喧嘩も覚えて、強くなった。
その河川敷は、誰も僕を見ない、気楽で孤独で、家と同じように退屈な場所だった。
でも、ある日を境に…そこは、この世界のどこよりも幸福な場所になったんだ。