総長様は溺愛も暴走する
「初歌ちゃんって呼んでも良い?」
「うん!」
その日から時折、僕たちはその河川敷で話すようになっていた。
最初の方はやっぱり人見知りをして、敬語で話していた初歌ちゃんも、いつの間にか普通に…友達のように話すようになっていった。
少しずつ近づいていく僕たちの距離が、僕が幸せに包まれる距離なんだ。
そして僕たちは、お互いについていろいろなことを知った。
初歌ちゃんは、初めて会ったあの日、父親の葬式で近くに来ていたらしい。
母親は今必死に仕事をして、自分たちの生活を支えてくれている。何もできない自分が不甲斐ないこと。
そして、きっと、母親に新しい旦那さんが…初歌ちゃんにとっての、新しい父親ができるであろうこと。