総長様は溺愛も暴走する
初歌ちゃんは聡い子供だった。母親の恋情も、自分たちの生活のことも、幼いながらにわかっていた。
その上で、母の助けになりたいと泣いていた。
僕はそんな初歌ちゃんを、羨ましく思ってしまった。
両親からの愛を与えられて育ち、清らかな心を持つ初歌ちゃんに。
そして、こんなに可愛らしい初歌ちゃんに愛されている、初歌ちゃんの母親に。
でも、初歌ちゃんは僕のことを大切に思ってくれている。
僕はその事をわかっている。
だから、自分で自分の醜い嫉妬を抑え続けた。
小学校に入学しても、地区が違ったから、会うことはできなかった。
だけど、すぐに頭が良いと発覚した初歌ちゃんについて行きたくて、隣に並びたくて、僕は必死に勉強した。