総長様は溺愛も暴走する
「ユートくん、すごいね!すっごく頭いいんだね!」
そんな純粋な笑顔で褒めてくれる初歌ちゃんの言葉が、何よりも誇らしかった。
でも、1個だけ間違ってるよ、初歌ちゃん。
頭がいいのは、僕じゃない。
「ありがとう、初歌ちゃん。でも、初歌ちゃんのほうがすごいでしょ?」
「ううん!ユートくん、いっぱい努力してるでしょ?それに、わたしは運動がニガテだし…ユートくんは得意でしょう?それに比べたら、私なんて…」
僕の努力を見てくれて、認めてくれたのが初歌ちゃんで、僕は本当に嬉しかった。
まぁ、僕を褒めるたびに初歌ちゃんがネガティブになっちゃうのは少し困ったけど…。
そんな淡くも幸せな日々が、少しだけ続いた。
そして、僕たちがもう高学年になるだろう、という春のことだった。