総長様は溺愛も暴走する
じゃあ、どうして空き家になっているのか。
それを聞こうとしたところで、近隣住民の人が用事があると言ってどこかに行ってしまった。
明日聞こうと思って、僕も家に帰って、そして―――
―――聞くことは、できなかった。
僕の母親も再婚して、その新しい父親の都合で急遽引っ越すことになったのだ。
明日から引っ越し準備で忙しくなる、そう告げられて、僕は眼の前が真っ暗になった。
その日の夜中に抜け出して、街をフラついているとき、僕は小さな暴走族の襲撃を受けた。
昔から喧嘩ばかりしてきたおかげか、僕は呆気なくその暴走族を潰すことができた。
そいつらの醜いうめき声を聞きながら、僕は思いついた。
僕も暴走族を作ろう。組織を作って、初歌ちゃんを探し出そう。