総長様は溺愛も暴走する
それから数年、何の音沙汰もなく、僕は平和…心の底から初歌ちゃんにあいたくて仕方なかったけれど、表面上は平和な日々を過ごした。
強いて言えば、僕の「浪花」が関西統一をしたぐらい。別に、それは目標の通過点だからなんとも思わなかった。きっとすごいんだろうけど。
そして、全国を目指す、俗に言うライバルが出てきた。
それが「朱華」。関東統一を成し遂げた、「浪花」と対となるような暴走族。
冷戦状態が何年も続いた。
別にこっちから喧嘩をふっかける理由はないし、理由もない。相手もそうだった。
ただ一応、関東に初歌ちゃんがいたら困るから、スパイを数人送り込むぐらいはしたけど。
勉強も変わらず続けていた。初歌ちゃんに再会した時、恥をかかないように。
流れで進学校である御伽乃中学校に進学し、新しい情報を掴む。
残念ながら初歌ちゃんじゃなくて、朱華について。
どうやら僕と同学年の御伽乃中生に、朱華の総長がいるらしい。