総長様は溺愛も暴走する
あ、この人…先生に話しかけられていた人だ…。
この男の子も綺麗な人で、ミントグリーンのショートボブとエメラルドグリーンの瞳が優しそうに揺れている。
小さく頷くと、その男の子は嬉しそうに笑って、自分のことを話してくれた。
「僕のことは分かる?刈谷悠。一応学級委員だから、なにか困ったら言ってね。できる限り力になるよ」
綺麗な笑顔だなぁ…。
この人は、優しそう…。
この学校で緊張し続けていた気持ちが、不思議と少しだけ安心できた気がした。
「は、はい…ありがとうございます。刈谷さん」
私がそうお礼を言うと、刈谷さんは困ったように笑って頬をかいた。
「え?悠でいいよ。さん付けもいらない」
「ゆ、悠くん?」
「うん、それがいいな。あと、当然だけど敬語もなしね。僕もやっぱり、初歌ちゃんって呼ぼうかな」
「はい…じゃない、うんっ!」
悠くん、と呼んだ時、悠くんは嬉しそうに頬を緩めた。