総長様は溺愛も暴走する
「まぁ、個人的には赤星が怪しいと思ってるんだけど…」
私の頭の中に浮かんでいた人の名前が悠くんの口から出てきて、私はぎくりと肩を揺らす。
じゃ、じゃあ…クラスの中に2つの暴走族の総長2人がいるってことになるんだ…。
もう、別世界すぎて言葉も出ない。
あれ? でも、悠くんの口ぶりでは…紅蓮くんが朱華総長ってことはバレていないみたいだけど…。
もしかして、本当に気づいていないのかな…?
そんな私をよそに、悠くんはふっと顔を真剣に引き締めた。
「初歌ちゃん」
「わっ…、え、えっと…なぁに?」
「なんか、ウチの下っ端が朱華総長の情報掴んで、喧嘩売ったんだって。でも捕まって、朱華が大規模な抗争を吹っ掛けてきたんだ。だから、今日から数日、あんまり出歩かないほうが良い」