総長様は溺愛も暴走する

奪わせない 【side.悠】




* * *



初歌ちゃんを女子寮に送った後、僕はいつもの集会場所へと急いだ。



やっば…初歌ちゃんと話してて、時間を忘れちゃった…。


まぁ別に、僕は総長だから問題ないんだけど。




今日は集会じゃなくて、幹部会が行われる手はずだから、より時間厳守じゃなくて良い。





それでも僕は機嫌が良かったから、あいつらのために急いでやっていた。





「お疲れ様です、悠様」




集会場所で、そうやって頭を下げるのは、黒いフードを目深に被った少女。

その下から見える瞳は、狼のようにギラギラと輝いている。

彼女は副総長の(もみじ)。立ち上げ当初から僕の副総長だった、信頼できる右腕だ。


幹部たちがバラバラと散っていく様子を見て、僕は大体のことを察する。


< 96 / 107 >

この作品をシェア

pagetop