総長様は溺愛も暴走する
奪わせない 【side.悠】
* * *
初歌ちゃんを女子寮に送った後、僕はいつもの集会場所へと急いだ。
やっば…初歌ちゃんと話してて、時間を忘れちゃった…。
まぁ別に、僕は総長だから問題ないんだけど。
今日は集会じゃなくて、幹部会が行われる手はずだから、より時間厳守じゃなくて良い。
それでも僕は機嫌が良かったから、あいつらのために急いでやっていた。
「お疲れ様です、悠様」
集会場所で、そうやって頭を下げるのは、黒いフードを目深に被った少女。
その下から見える瞳は、狼のようにギラギラと輝いている。
彼女は副総長の椛。立ち上げ当初から僕の副総長だった、信頼できる右腕だ。
幹部たちがバラバラと散っていく様子を見て、僕は大体のことを察する。