君が嘘に消えてしまう前に

自分でも集団としてやっていく中で、こんな考え方ってどうなんだろうとは思ってる。

それでも目立ちたくないし、失敗したくない。

ただでさえ人の顔色を気にして過ごしているのに、人前に立つのも責任を持つのもごめんだった。


…リーダーなんて、目立ちたい子とか人望がある子がやればいいじゃん。


誰も言葉には出さないけど、クラスにそんな風潮があるのは明らかだった。

そして少なくとも私は、そのどっちにも当てはまらない。


「五分後にもう一回聞くから、それまで周りと相談したりしといて欲しい」


誰も出る様子のないのを察して、瀬川くんはとりあえずと言った感じでそう言葉を締めた。

そしてそのまま目線を下げて、机に向かって何かを書き始める。
たぶん黒板に書いた内容を書き写しているんだろう。
こういうところを見ると、瀬川くんって生真面目な性格をしてるなぁと思う。


周りがまた騒がしくなる中で、私は何でもない風を装ってまた窓の外を見た。


…この時間が、すごく気まずい。


愛想が悪くて自分から人に歩み寄ろうとしない私には、当然わざわざ話す友達なんていなかった。

周りがみんな誰かと話している分、余計に自分は一人なんだって自覚しなきゃいけないから...ちょっと辛い。

こう言う時に虚しさや寂しさを感じるあたり、私って弱いなぁとつくづく思う。

勝手に壁を作って一人で篭ってるくせに、いざ一人を実感すると胸を張れない自分が嫌いだった。


私は好きで一人でいますって、そんな風に生きれたらよかったけど、残念ながら私はそんな強くなくて。

本当はこの状況なんて望んでないのに、改善する勇気もないだけの意気地なしだ。
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