君が嘘に消えてしまう前に
一番苦手なクラスメート
隣の席の優等生
五月、高二になっての初めての席替え。
特別仲のいい友達も好きな人もいないから別に一喜一憂するようなイベントではないけれど、それでも一番窓側の、しかも最後列の席を引き当てたことに私は多少なりとも浮き足立っていた。
…まさかその後、一気に地獄へ突き落とされるなんて思いもせずに。
誰かと視線が合わないように少しだけ俯きながら、カバンと机の中に入れていた教科書類をもって席を立つ。
みんなはまだ座席を報告しあってその結果に大げさに喜んだり肩を落としたりと忙しそうだ。
当然、そんな風に席替えの結果を報告し合う相手は私にはいないけど。
去年に引き続き、私は教室で一人きりで過ごしている。
移動教室の時も一人だし、休み時間は一人で本を読んでいるし、お昼を食べるのも当然一人きりだ。
最初の頃こそそれがつらかったものだけど、今ではそれにもだいぶと慣れてしまった。
確かに寂しさや虚しさを感じることはあるけれど、それでも初めから一人でいるのは無駄な希望を知らなくて済むから楽だった。
仲の良かった友達と距離が開くほうがよっぽどつらいって、もう知ってるから。
――それなら私は、最初から一人でいい。
…今日も私は、そう必死に心の中で唱えた。