君が嘘に消えてしまう前に
私の問いに、瀬川くんは視線を斜め左上に投げて少し考えたあと、口を開いた。


「…なんとなく。篠宮さん相手なら、バレても問題ないかなと思って」


…確かに、私には友達なんて呼べる人はほぼいないからバレても噂が広がったりはしないだろうけど。


でも、いくら事実だからって、あまりに言い方が直球すぎる。

周りから一人ぼっちだって思われているのはわかっていても、いざそれを人から突きつけられると心にくるものがある。

しかもそれを、人の傷つくことを言わなそうな瀬川くんから言われたのだ。



ーー結構ショックだなぁ…



たぶん、私がそんなふうに思ったのが顔に出ていたんだろう。

瀬川くんは私の顔を見ると、「篠宮さんが思ってるような理由じゃなくて」と少し焦った様子で弁明した。


「確かに篠宮さんなら言いふらしたりしないだろって思ったのもあるけど…
それよりも、前から篠宮さんには若干バレてるんじゃないかって思ってたからさ」


ーー気づかれてたんだ。

さらりと放たれた瀬川くんの言葉に、どくんと心臓が音を立てた。

うまく隠せていると思ってたのに。
< 35 / 69 >

この作品をシェア

pagetop