君が嘘に消えてしまう前に
音楽室に入ると、永峰くんの言った通り結構な人数がすでに指定された席についていた。
来ていないのは私たちを除くと二、三クラスだけだ。
「あそこが俺らのクラスの席っぽいな…行こう」
瀬川くんを先頭にして私たちは早足で指定された席についた。
すぐにまだ来ていなかったクラスの人たちも来て、去年も聞いた説明が音楽教師の口から繰り返される。
「今日責任者、指揮者、伴奏者の人たちに集まってもらったのは、放課後の練習について説明するためです。
去年に引き続き担当してくれている人もいると思いますが、一年生もいることですし、改めて説明します」
音楽教師の言葉が右から左へと抜けていく。
去年も書いた説明だしなあ、と思いながらぼんやり聞き流していると、隣に座る瀬川くんがやけに真剣な表情で説明を聞いているのが目に入った。
「練習場所は基本的には各クラスの教室です。
ピアノの使用はクラスごとに交代制で行ってもらいます。
使用できる場所と時間帯については今から配るプリントに書かれているので、それを見てください」
前から回ってきたプリントを受け取り、一枚取って後ろに回す。
サッとプリントに目を滑らせる。