君が嘘に消えてしまう前に
お姉ちゃんは、昔からとびぬけて優秀で、私のあこがれだった。
優しくて、人のことをよく見ていて、いつも冷静で。
勉強もできるし、わたしみたいに周りの目を気にして言いたいことを押し殺すこともない。
誰もが憧れて当然の、選ばれた存在。
そんなお姉ちゃんの存在は、幼少期の私にとっては自慢で。
でも、...その存在は私が成長するにつれて大きな足かせになっていった。
お姉ちゃん自体が、わたしに直接的に何かするわけじゃない。
彼女自体は昔と変わらず理想的で優しい姉のままなのだ。
ただ、わたしが変わってしまっただけ。
彼女と比べられるのが嫌で、今もこうやって一方的に避けているだけ。
だって、小さいころから比べられ続けてきて、嫌というほど私は思い知っている。
――両親が大切なのは姉だけで、わたしはこの家の邪魔者だってこと。きっと私さえいなければこの家は完璧だったってこと。