10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「私のせいで迷惑かけてごめんね。今日も会社お休みしなきゃいけなくなっちゃったんだよね。検査は面倒でも受けといた方が良いと思うよ。私はここで待ってるからさ」
私は自分の脳がスーパーコンピューターのような状態になっている事を思い出していた。江夏君も大したことないと私を心配させないように言ってくれるが、一時は意識を失い掛けている。脳や体の機能のどこかで異常事態になっている可能性は十分ある。
「迷惑なんて思わないで。俺、ずっと10年前に桜田さんを助けられなかった事を後悔してたんだ。今度は守る事ができたよね」
「うん。守ってくれてありがとう」
「じゃあ、検査に行ってくるね」
江夏君は私の髪を撫でると、そのまま病室を出た。
眠る気はなかったのに、私は気がつけばベッドでシーツに包まり眠りに落ちていた。
♢♢♢
誰かが私の頬を撫でるように触っている気がする。
(冬馬さん?)
目を開けると、江夏君が私の顔を覗き込んでいた。
「ごめん、私、眠っちゃってた。今、何時?」
「俺が眠っててと言ったんだから謝る必要なくない? ちなみに今は17時だよ」
「17時!?」