10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 彼女も冬馬さんと体の関係があるのだろう。
 そんな女性に私の下着を50セットも持って来させた彼の常識を疑う。

 隣にいる江夏君が私を心配そうな顔で見ているのに気がついた。
 私は背伸びをし、彼を安心させるように耳元で囁く。

「もう、彼とは他人だから大丈夫だよ」
 私の言葉の返事のように、彼が私の頭をそっと撫でた。
 昔と立場が逆転しているのは、私の時間が中学時代から止まっていて内面の成長が遅れているからだろう。

 エレベーターが到着する音がして、前を見ると到着したのは高層階のエレベーターの方だった。
 タワーマンションのエレベーター事情の悲惨さに驚いていると、突然強く腕を引かれた。

 気が付くと私はエレベーターの中で私は冬馬さんと2人きりになっていた。
 私が疑問を口にするように先に、私の口は彼の深い口付けで塞がれた。
 彼に壁に強く押し付けられていて、足が床についていない。

 明らかにエレベーター内には防犯カメラがあって、そのような監視された場所でこんなことをする事に抵抗を感じる。

(はっ、離して⋯⋯)
 酸欠で脳が朦朧としているのか意識が遠のきそうだ。
 
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