10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 彼が再びソファーに座り、私はテーブルを挟んで彼と向かい合わせのフワフワラグの上に再び正座する。

「⋯⋯私、やっぱり冬馬さんとは一緒にいられない」
 私の言葉に彼が傷ついた顔をする。
 傷ついたのは私の方なのに、自分が被害者のような顔をする彼に苛立ちを覚えるが必死に抑えた。

「未来、俺、変わるから。もう、未来に嘘はついたりしない。未来と会ってから他の女を抱いたりもしてないし、これからもそういう事はしない。絶対に幸せにすると約束する。お願いだから一緒にいて欲しい」
 真摯に私に向き合うように彼がゆっくりと話し掛けてくる。 
 しかし、全くその言葉の数々は私の心に届かなかった。

「そもそも、どうして複数の女性と体の関係を持つような不適切な事をしていたのですか?」
 私に対しても不誠実な事をしていたが、彼は自分が刺されそうになる程に女性から憎まれるような事を反省しているようにも見えない。

「ストレス発散かな?」
「ストレス発散に人を利用するなんて、最低ですよ」
 悪びれもせず言う、彼に私は説教モードになってしまった。
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