10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
22.秘密のキス
「江夏君、私、実家に帰るね。私を心配してくれてありがとう」
「俺も一緒に地元に帰るよ。こんな夜遅く桜田さんを一人で歩かせられない」
私は自分が刺されそうになった時の恐怖を思い出して、江夏君の厚意に甘えることにした。
地元までの鈍行列車に乗ると、揺れが気持ち良いのかうとうとし始める。
「桜田さん? 眠いなら寝ても良いよ」
「んっ? でも、そういう訳には⋯⋯江夏君、地元に戻ったら会社遠くなっちゃうよ」
私は薄れゆく意識の中で江夏君が心配になった。
彼のことは私を虐めた連中以上に大嫌いだった。でも、今は彼が複雑な気持ちだった事を理解できる。
「別に同じ関東地方だよ。通勤が大変になることを心配してくれてるの? 俺は桜田さんが地元にいる間は地元から会社に行くよ。人の事ばかり気にして、相変わらず桜田さんは優しいね」
「あんな高級マンションの部屋を買ったのに、住まないと勿体なくない?」
私は自分で言っていて、江夏君と自分が過ごした十年は全く違うのだと思い知らされた。
「賃貸だから、気にしないで! 流石に二十代であのレベルのマンションの部屋は買えないよ」
「俺も一緒に地元に帰るよ。こんな夜遅く桜田さんを一人で歩かせられない」
私は自分が刺されそうになった時の恐怖を思い出して、江夏君の厚意に甘えることにした。
地元までの鈍行列車に乗ると、揺れが気持ち良いのかうとうとし始める。
「桜田さん? 眠いなら寝ても良いよ」
「んっ? でも、そういう訳には⋯⋯江夏君、地元に戻ったら会社遠くなっちゃうよ」
私は薄れゆく意識の中で江夏君が心配になった。
彼のことは私を虐めた連中以上に大嫌いだった。でも、今は彼が複雑な気持ちだった事を理解できる。
「別に同じ関東地方だよ。通勤が大変になることを心配してくれてるの? 俺は桜田さんが地元にいる間は地元から会社に行くよ。人の事ばかり気にして、相変わらず桜田さんは優しいね」
「あんな高級マンションの部屋を買ったのに、住まないと勿体なくない?」
私は自分で言っていて、江夏君と自分が過ごした十年は全く違うのだと思い知らされた。
「賃貸だから、気にしないで! 流石に二十代であのレベルのマンションの部屋は買えないよ」