10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 結局、城ヶ崎冬馬を落とせなかった上に、桜田未来にキツイパンチを喰らった私は逃げるように地元に戻った。

 地元に戻ると驚くような変化が起きていた。
  
 地元では鈴村建設の取引が全て打ち切られ、父の会社の経営は厳しい状況に陥っていた。周囲の土地は城ヶ崎グループが高額で買収されていた。

 街の人たちは私を見るなり、陰口を叩いたり無視をし始めた。このような千葉の田舎の港町に城ヶ崎グループのリゾートホテルができるらしい。東京の桟橋から専用クルーズ船でダイレクトにアクセスできるという富裕層向けのホテルだ。街の人たちは新しい雇用が生まれる期待でいそいそしていた。土地を売ったお金で、東京に近い浦安などに引っ越そうと考えている人もいる。
 桜田未来の「全ては自分のやってきた事の結果」という言葉を思い出し胸が詰まった。

 父は私を鈴村建設の社長室に呼び出すなり、とんでもないお願いをしてきた。
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