10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「お父さん、今の状況は鈴村家がこの土地でやりたい放題やってきた結果だよ。皆、偉そうにしている鈴村家に内心不満を持ってた。今のこの状況を受け入れよう」

「何を言ってるんだ! 土下座してでも、靴を舐めてでも桜田さんに縋って来い! 大体、お前があの子を虐めたのがいけないんだぞ。そうじゃなきゃ、うちのような小さな会社を城ヶ崎グループがターゲットにする訳がない!」

 父は私に怒声を浴びせて来る。彼が自分の会社を「小さな会社」などと卑下するのは初めてだ。それ程に、城ヶ崎グループの力が強過ぎて父も気持ちが弱っているのだろう。地元の繋がりで長年仕事をもらってきた中小企業だ。大企業の前ではなす術がない。

「ターゲット⋯⋯そうだね、やった事が返ってきたんだよ! お父さん! もう、腹を括ろう! 桜田未来は天使の顔した閻魔大王なんだって! 許しを乞う? 無意味だよ。罪は償えって返されるだけ!」

 私は、桜田未来に言われた事を思い出して涙が溢れてきた。若気の至りで半径2キロの街の中で調子に乗っていた。地元で力を持ち過ぎてて自分が特別な存在だと勘違いしていた。どんな弁明をしても閻魔大王は許さない。





< 147 / 185 >

この作品をシェア

pagetop