10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「笹倉絵馬⋯⋯接近禁止命令は出てるはずだけど? ちょうど警察署の前だから捕まっていく?」
 冷ややかな城ヶ崎さんの言葉を聞いて、笹倉さんの顔色が変わりバッグの中から光るものを出したのが見えた。

「私だけのものにならないなら、死んでー!」
「あっ! 危ない!」
 笹倉絵馬さんが城ヶ崎さんに向かい刃物を持ち突進してきたので、私は咄嗟に彼を庇った。
 背中に鈍い痛みが走る。遠のく意識の中で、私は本当は温かい家庭を持ち、お母さんみたいな優しい母親になりたかった事を思い出していた。
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