10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 私は彼の目をしっかりと見据えながら自分の気持ちを伝えた。彼は頬を染めて照れたように目を逸らす。女性に告白されることなんて慣れていそうなのに、何だか可笑しい。

「俺も未来が好きだよ。急にどうした? 結婚前に俺に抱かれたくなった?」
「⋯⋯はい」
 私の返事を聞くなり、冬馬さんは歯を食いしばり目を瞑った。

「ごめん。癖で軽口を叩いちゃったけれど、俺は本当に未来が好きだから結婚するまで我慢する。ちゃんと俺が変わったところを見せて、未来を安心させるから。俺が欲しいのは未来の体じゃない。心なんだ! 今、弱ってる君に漬け込みたくない」

「分かりました」
 私は勇気を出して彼に抱かれたいと言った。断られたようで少し恥ずかしい。思わず彼から目を逸らしてしまった。
「一応、変わった俺と大人の余裕を見せようと思ったんだけど伝わってるよね。俺は未来を抱きたくて仕方ないけど、敢えて我慢していること」
「伝わっております⋯⋯」

 私は謎の弁明をしてくる冬馬さんが可笑しくて、吹き出しそうになるのを必死に堪えていた。
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