10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「せっかく俺の元に戻って来てくれたから、もう手放したくないんだ。本当はめちゃくちゃ感度の良い未来の体が気になってる」
「えっ?」
 私はまだその話が続いていたのかと、思わず顔を顰めてしまった。「感度の良い体が気になってる?」そんな可笑しな事を初めて言われた。

「いや、そうじゃないんだ。俺は我慢できるんだ。ただ、なんであんなに敏感なのかなと⋯⋯一人でしたりしてたのかなんて想像してないよ。ただ、気になって⋯⋯そんな惚けた表情されると刺激はされちゃうんだよ」
「はぁ⋯⋯」

 私はまごまごしている冬馬さんを観察し続けた。彼は本当に謎が多い人だ。私を調べ尽くし、恋人のフリをしたのも理解できない。それでも、私の危機を察知して助けに来てくれた。冬馬さんを見た時にホッとしたし、もっと一緒にいたいと思った。彼が私を弄んでいたとしても、そのお遊びに付き合ってみても良いような気になった。

 ヘリコプターがタワーマンションのヘリポートに到着すると、真っ赤な顔で冬馬さんは私を抱き締めながら降ろした。

「冬馬さん、今日はありがとうございました。私、冬馬さんの部屋に戻って良いのでしょうか?」
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