10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
冬馬さんの部屋に入ると、私はなぜか二人きりであることに緊張した。

「お腹空いてない? それともお風呂にする?」
「お風呂に入りたいです。一緒に入りますか?」
 自然と自分から漏れた言葉に自分で驚いた。私は今冬馬さんと距離を詰めたいと思っている。でも、お風呂に誘うなんて狂気の沙汰だ。彼がしょっちゅう私をお風呂に誘って来ていたから、口癖が移ってしまった。

「いや、大丈夫! そんな罠仕掛けないで! 絶対に結婚までは我慢するから。未来は怖い子だな」
 冬馬さんは動揺しながら、自分は一人シャワーを浴びに行った。私は戸惑いつつもも湯船に浸かりバスローブに着替える。お風呂から出ると冬馬さんが熱った顔をして待っていた。

「冬馬さん。疲れてますよね。よければマッサージさせてください」
 前回、マッサージした時に冬馬さんが凄く喜んでくれた。私は今日助けて貰ったお礼の意味も込めて彼に何かしてあげたかった。

「えっ? マッサージ? お願いします」
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