10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
突然の父からの呼び出しに一瞬、嫌な予感がした。父は予定を分刻みでこなすタイプで、あらかじめ約束していない呼び出しなど初めてだ。
「分かった。今行く」
エレベーターで最上階に行こうとボタンを押した所で、結構待ちそうだと気が付き非常階段で一階分あがる事にした。
重い鉄の扉を開いた時に、江夏爽太と抱きしめられていた未来を見た光景が蘇る。俺の告白に「好きでもない人から、そんな事を言われても迷惑」と切り捨てた彼女。
「もうちょっとオブラートに包んでくれても良いのに、本当にはっきりしてるよな⋯⋯」
未来がまたいつ三行半を突きつけてくるかと思うと怖い。俺を好きだと言っている今の内に結婚してしまいたくなる。でも、無理に事を急いで不信がられて逃げられる可能性がある。先手必勝で生きて来たのに、俺は異常なまでに慎重になっていた。
ノックをして社長室に入ると、父が仕事モードではない父親の顔で俺を見ていた。
「冬馬、そこに座れ」
父は仕事の時は俺を役職で呼ぶ。今、は父親として俺に接しているということだ。応接用の黒いレザーのソファーに座るよう促されたが咄嗟に断った。
(未来の事を反対される?)
「分かった。今行く」
エレベーターで最上階に行こうとボタンを押した所で、結構待ちそうだと気が付き非常階段で一階分あがる事にした。
重い鉄の扉を開いた時に、江夏爽太と抱きしめられていた未来を見た光景が蘇る。俺の告白に「好きでもない人から、そんな事を言われても迷惑」と切り捨てた彼女。
「もうちょっとオブラートに包んでくれても良いのに、本当にはっきりしてるよな⋯⋯」
未来がまたいつ三行半を突きつけてくるかと思うと怖い。俺を好きだと言っている今の内に結婚してしまいたくなる。でも、無理に事を急いで不信がられて逃げられる可能性がある。先手必勝で生きて来たのに、俺は異常なまでに慎重になっていた。
ノックをして社長室に入ると、父が仕事モードではない父親の顔で俺を見ていた。
「冬馬、そこに座れ」
父は仕事の時は俺を役職で呼ぶ。今、は父親として俺に接しているということだ。応接用の黒いレザーのソファーに座るよう促されたが咄嗟に断った。
(未来の事を反対される?)