10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 彼は諦めたようにボールペンを握ると、父の隣の証人欄に署名した。

「江夏爽太、城ヶ崎グループの会長である父と共に、俺と未来の結婚を祝福してくれてありがとう」

 俺の言葉に江夏爽太は口をパクパクさせていた。これは、今度、未来に手を出そうとしたら社会的に抹殺するという警告だ。

 彼は深呼吸すると、営業スマイルを作った。
「桜田未来さんは、俺にとって特別な方です。彼女の新しい門出の証人にして頂きありがとうございます。お二人の幸せを心より願ってます」
「ありがとう。誰よりも未来を幸せにするよ」
 俺と彼はお互い顔を見合わせると、なぜか笑い合った。
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