10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「冬馬さん、私たちは結婚しましたよ。もう、私は貴方の奥さんです」
結婚式はまだだが、入籍をして私は「桜田未来」から「城ヶ崎未来」になっている。冬馬さんは私の言葉の意味を理解したのか、そっと私を横抱きにして寝室に運んだ。
翌朝、私は自分の中に生まれた疑惑を冬馬さんに尋ねようか迷っていた。初めてなのに全く痛くなく、自分を見失うくらい快楽に溺れたのだ。
「おはよ。起きてたの? 体は大丈夫?」
冬馬さんが目をゆっくりと開いて、愛おしそうに私を抱き寄せてくる。「体は大丈夫?」とは初めては痛いはずだから聞かれているのだろう。
「冬馬さん、正直に答えてください。私が寝ている時とかにこっそり何かしましたか?」
「?」
冬馬さんは私の質問の意図を理解していないようだった。
私は江夏君が寝ている私にこっそりキスしたように、冬馬さんが意識がない私の処女を既に奪っていたのではないかと疑っていた。
「その⋯⋯だから、昨晩は凄く気持ち良かったんです」
「俺も凄く良かった。本当に愛する女を抱くって全然違うんだな。なんか涙が出そうなくらい感動した」