10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「あんたみたいな社会の底辺と関わるなんてこっちがお断り。私、今、モデルやってるんだ。爽太とは合コンで再会してさ。合コンって分かる? まあ、小卒じゃ行ったこともないか」

 私は中学校2年生から学校に行けていない。
それでも義務教育なので中卒ということになっている。

「本当にあんたみたいなのがここにいるなんて不相応よ。この社会のダニが! わかった! パパ活してるんでしょ。あんたの母親も妾さんだったもんね。体売ってる女とか悲惨、きもっ!」
 私は母のことを侮辱されて頭の中の何かが切れた。
 母はどうしようもなくなった私を一言も責めず受け入れてくれた人だ。

「ふざけん⋯⋯」
 彼女を無視しようと思っても酷すぎる侮辱に耐え切れなかった。
 くだらない奴らは相手にしないようにしようと思いつつも、口を開いた私を止めたのは冬馬さんだった。

 後ろから私を柔らかく抱きしめてきて、温かな温もりをわけてくれる。

「モデルってあんた誰よ。そんだけブスでどこのモデルな訳?」
「すっごいイケメン? もしかして、モデル仲間ですか?」
 冬馬さんの問いかけに興奮気味に鈴村楓が質問した。

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