10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 私は余計な事を言ったらしく、澤田は睨みつけてくる。

「城ヶ崎様、この4人で5人分働きますのでご安心ください。少数精鋭です」
 澤田が取り繕うように言った言葉に城ヶ崎さんは鼻で笑った。
「全員、使えなそうだけど?」
 城ヶ崎さんの冷ややかな言葉に澤田は気持ちの悪い笑顔のまま頭を下げると、私を引きずって業務用エレベーターのところに連れて行った。

 ドスン!

 そこで、突然胸に飛び蹴りを喰らう。
「いたっ!」
「てめえ、余計な事言ってるんじゃねえよ。バイトの癖に」
 思わず私はその場に蹲った。

 後から来た他のバイトの子たちが私を一瞥しすると、黙々とエレベーターに乗って下に降りて仕事をしだす。

 しばらく動けなく蹲っていると、頭上から拳骨された。
 あまりの痛みにくらくらする。
「お前、金貰ってるだから働けよ。この社会のド底辺が!」
 顔を上げると鬼のような顔をした澤田がいた。

「底辺掛ける高さ割る2⋯⋯」
 私な思わず学生時代馴染んだ公式を呟いてた。
「なんだよ、台形の公式か? きもっ」
 
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