10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
7.咄嗟についた嘘は願望(冬馬視点)
城ヶ崎冬馬27歳。
 アパレルブランドの『ブルーミング』の副社長をしている。

 ルックスが良いせいか、女は黙ってても寄って来た。
 体を重ねても全く本気になったことはない。
 俺は女遊びは好きだが、女自体は嫌いなのだ。
 強かで計算高く吐き気がする。


 だから、後腐れない相手を選んで1、2度遊ぶだけにしていた。
 しかし、たまに重い女を引き当ててしまう。
 尻軽に見えて、体を重ねた事で本気になってしまう女だ。
 そういった女はストーカー化する。

 そのせいで、俺は2年に1回は引っ越しをするはめになっていた。
 普段はバイト率の高くなる引っ越し業者の繁忙期である3月末は避ける。
 しかしながら、モデルのEMAこと笹倉絵馬のメンヘラ具合は想像以上にやばく、一刻も早く引っ越さなければならなかった。
 

 引っ越し業者の人材難は年々酷くなるばかりだが、今回は大外れだと思った。
 明らかに3人はバイトで、唯一の社員は叩けば埃が出そうな男だ。
 そもそも、公共の温泉やプールにも入れない刺青入りの男を、新居に入れなければいけないこちらの身になって欲しかった。

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