10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 前回、アルト引っ越しセンターにお願いした時に時時計を盗まれたので、ソプラノ引っ越しセンターに変えたがこちらもハズレだったようだ。

 仕事の電話がひっきりなしに掛かって来るが、前回の盗難騒ぎの教訓を生かし今回は引っ越し作業中ずっと見張っていた。

 案の定、照明を壊した事を隠蔽しようとしているソプラノ引っ越しセンターの社員の澤田優斗にため息が漏れる。

 そんな時に、俺に照明の弁償を申し出て来たのが、明らかにバイトの小柄な女の子だった。
 澤田が女の子に腹パンしていたところは見えていた。
 
 繁忙期だから、おそらく後2件は回るだろう。
 このメンバーだと、その間もトラブルが続いて彼女はまた危ない目にあいそうだ。
 俺は気がつけば目の前の正直過ぎて損をしている女の子を守ろうと、彼女を自分の部屋に置いて行かせた。
 
 女の子は小柄で透き通るような白い肌をしていた。
 澄んだ瞳に小さい口をしたその子は、揶揄いたくなるような可愛らしさがあった。
 いつも遊んでいるモデル連中とは全く毛色が違う。
 揶揄い半分の俺の行動は、真面目過ぎる彼女の逆鱗に触れ警察を呼ばれた。

< 44 / 185 >

この作品をシェア

pagetop