10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 自分の初めて持つ感情の正体が、恋なのか愛なのか分からない。
 ただ、2度と出会えないような女の子と出会って、絶対に手放したくないと強く思っていた。

 そして、今のままだと未来が記憶を取り戻したら、関係が終わることが俺には分かっていた。
 いつ彼女が記憶を取り戻して自分から離れていくかと思うと怖くなった。
 
 土曜の仕事は来月からファッションウィークが始まるので、行かない訳には行かなかった。
 未来にクレジットカードと現金を渡したのは、彼女に俺の金を使わせて記憶が戻っても直ぐに離れられないような罪悪感を持たせようと思ったからだ。
 クレジットカード会社にカードが使われたら直ぐに連絡がするように伝えた。
 
 仕事中も未来に記憶がいつ戻るのか怖くて気が気じゃなかった。
 明日、今季の秋冬のファッションショーをやるから、今日はそのリハーサルだ。

「副社長! RINAから昨晩、新居にお呼ばれしたって聞きましたよ。なんで、私を呼んでくれないんですか? こないだ、言われた通りに小山内社長の髪の毛を持ってきたのに。ご褒美くださいよ」
 体をくねらせながら擦り寄って来たのは、モデルの桃香だ。
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