10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
8.このまま抱いてしまいたい
婚約指輪を購入してご機嫌な気持ちでマンションに戻ると、愛しの未来が笑い者にされている場面に遭遇した。

 鈴村楓は未来をイジメた首謀者として調査済みだった。

 モデル事務所に所属していているようだから、圧力をかけて仕事をなくしてやろうと思った。
 
 俺が気になったのは、江夏爽太の方だった。
 彼は調査では上がってこなかったが、明らかに未来に特別な感情を抱いている。
 人の顔と名前は覚えるのが得意なので、本当は三池商事で挨拶をした彼のことは覚えていた。俺の力で目の前から消すことができる人間だ。同じマンションに未来に色目を使うような男がいるのは耐えられない。

 俺は他人の恋愛感情は割と敏感に察する方だ。悲しい事に未来が俺に対して、さして夢中になっておらず恋すらしてくれているか怪しいことも分かっていた。

 帰宅して2人で仲良く手を洗っていたら、仕事の電話が来た。

 リハーサルは滞りなく進んでるらしい。
「あとは、任せるよ。トラブルがあったら、お前の判断でなんとかしてみて。一々連絡しなくても良いから」
「ありがとうございます。城ヶ崎副社長に信じて頂けるなんて嬉しいです」

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