10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
俺は自分の妻が働いているのを想像できなかった。実際、俺の母も祖母も曽祖母も所謂専業主婦だ。俺は彼女との間に大きな価値観の違いを感じていた。
「やっぱり、ズルいですよね⋯⋯」
彼女が小さく呟くのを俺は聞き逃さなかった。
ひゅっと心臓に冷たい空気が入ったような感覚に陥る。
「未来、何か思い出したんじゃ?」
「すみません、冬馬さんの事は何も思い出せてません」
彼女が申し訳なさそうに謝ってくるのをみて、ホッとしている自分が嫌いになりそうだ。
「冬馬さん、実は私、今、脳が普通の状態じゃないんです」
彼女は自分の脳が瞬間的に物事を記憶して理解できる状態にある事を教えてくれた。その特別な状態で受験するのをズルいと考えるのが如何にも彼女らしい。
「新しい事はどんどん記憶できるのに、冬馬さんの事を思い出せないんです。辛い思いをさせてしまい申し訳ありません」
「過去のことは、一生思い出さなくても俺は構わないよ。新しく思い出を作って行けば良いって言ったでしょ」
「やっぱり、ズルいですよね⋯⋯」
彼女が小さく呟くのを俺は聞き逃さなかった。
ひゅっと心臓に冷たい空気が入ったような感覚に陥る。
「未来、何か思い出したんじゃ?」
「すみません、冬馬さんの事は何も思い出せてません」
彼女が申し訳なさそうに謝ってくるのをみて、ホッとしている自分が嫌いになりそうだ。
「冬馬さん、実は私、今、脳が普通の状態じゃないんです」
彼女は自分の脳が瞬間的に物事を記憶して理解できる状態にある事を教えてくれた。その特別な状態で受験するのをズルいと考えるのが如何にも彼女らしい。
「新しい事はどんどん記憶できるのに、冬馬さんの事を思い出せないんです。辛い思いをさせてしまい申し訳ありません」
「過去のことは、一生思い出さなくても俺は構わないよ。新しく思い出を作って行けば良いって言ったでしょ」