10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 あの後、江夏爽太についても調査したが、中学2年の時に未来と同級生だった事しか2人に接点はなかった。中学時代の彼はサッカー部のエースで成績も優秀なクラスの人気者だったらしい。その後、高校は慶明大学付属高校に通いそのまま大学まで上がる。卒業後は大手総合商社三池商事に就職。経理部に配属され、今年からアパレル営業部に移動したとの調査結果だった。

 俺は彼が東京本社から地方の支社に異動するように圧力をかけた。
 彼が未来を見る視線に恋愛感情が混ざっていたのを感じ取ったからだ。

「大丈夫ですか? 私、江夏君とは別れました。やっぱり、初恋って特別なんですよね。江夏君と桜田さんはお似合いカップルだったから」
 気が付くと鈴村楓に腕に胸を擦り付けられていた。

 俺は女のこういう所が一番嫌いだ。
 男は万年発情期でモーションをかければ揺らぐと勘違いしている。
 そういう安っぽい女には吐き気がする。
 
「気持ち悪いから離れてくれない? そういうの女から男にしても痴漢行為だよ」
 俺が冷ややかに言った言葉に彼女はムッとするも離れようとしない。

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