10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「明日、冬馬さんのご両親にお会いする時に着る服で迷ってて、一緒に選んで頂けると嬉しいのですが。お忙しいですよね」
「可愛い⋯⋯そんな誘いより優先する仕事はない」

 冬馬さんはしょっちゅう私を「可愛い」と言ってくる。
 そんな事を言われた事がなくて、ドギマギしてしまった。

 彼を連れて、私の部屋に入りベッドの上に自分でセレクトした5着ほどの服を見てもらった。

「俺はセットアップのスーツよりワンピースの方が未来は似合うと思うんだよな」
 確かに私も試着した時にそう思った。
 背が低いせいか、セットアップのスーツを着ると子供が無理してスーツを着てるような感じになってしまった。

「ワンピースだとカジュアル過ぎるかなとも思うのですが、大丈夫でしょうか? 料亭というものに行った事がなくて⋯⋯」

「生地がカジュアルじゃないものなら大丈夫だよ。まず、このデジタルラベンダーのレースワンピースを着てみて」
「分かりました。ちょっと後ろを向いていてください」

「着替え手伝うよ。ファスナー下ろしてあげる」
そういうと、私をくるりと回して彼がファスナーを下ろした。
< 75 / 185 >

この作品をシェア

pagetop