10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
 冬馬さんが私の頬を包んで目線を合わせてきた。
「ありのままの未来で十分素敵だよ」
「そんな事を言ってくれるのは、冬馬さんだけです」
 彼の顔が近づいて来たので、私は自然と目を瞑り彼のキスを受け入れていた。


「ダメだ、我慢できなくなりそう。ちょっと鎮めるから待ってて」
「はいっ! では、次はこれを着ますね」

 私は青系のキチっと感のあるシャツワンピースを手に取った。
 そっと、扉の外に出て、こっそりと着替えて部屋に戻る。

 「おいで未来! そこからこっちに歩いておいで」
 冬馬さんが私の方を向いて両手を広げて待っている。
 私は彼に言われた通りに、彼の方に歩いて行く。
 彼の前まで行ったら、ポーズを取る前に引き寄せられて抱きしめられた。

「店の雰囲気的にも、このトランキルブルーのシャツワンピースが良いかな。多分、うちの母も似た色の着物を着てくると思う」
 耳元で彼が囁くような喋ってきて、とてもくすぐったい。

「お着物で来られるんですか?!」
 入学式や卒業式で着物を着ている母親を見たことはあった。
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