10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
もう一度私は彼の手を振り解こうとした。
(どうしよう。力の差があり過ぎて振り解けない⋯⋯)
「江夏君、いい加減にしてよ。もう、貴方のことも忘れたいの。私が好きなら、この手を離して!」
私の言葉に江夏君は顔を歪めると手をゆっくりと離す。
私は小走りでエントランスの方に向かった。
「桜田さん、俺のこと嫌いでも良いから、これだけは聞いて! 城ヶ崎冬馬副社長とは別れた方が良いよ。あの人は業界じゃ有名な遊び人で、きっと桜田さんを不幸にするから。俺は桜田さんには幸せになって欲しいんだ」
後ろから、江夏君の声がしたが私は振り返らなかった。
エントランスを出たところで、私は見知らぬ包丁を持った男と出会す。
くたびれたTシャツに、下は白いジャージを着ていて腕には刺青が入っている。
(えっ? 誰? 私を睨んでる。怖い⋯⋯)
「桜田未来、お前のせいで俺の人生めちゃくちゃだよ。せっかく決まった仕事も辞めさせられてよお⋯⋯」
私の名前を知っている目の前の男を私は知らない。
酔っ払っているのか、薬物をやっているのか目も虚だ。
私は人に恨みを買うようなことをした記憶もない。
(どうしよう。力の差があり過ぎて振り解けない⋯⋯)
「江夏君、いい加減にしてよ。もう、貴方のことも忘れたいの。私が好きなら、この手を離して!」
私の言葉に江夏君は顔を歪めると手をゆっくりと離す。
私は小走りでエントランスの方に向かった。
「桜田さん、俺のこと嫌いでも良いから、これだけは聞いて! 城ヶ崎冬馬副社長とは別れた方が良いよ。あの人は業界じゃ有名な遊び人で、きっと桜田さんを不幸にするから。俺は桜田さんには幸せになって欲しいんだ」
後ろから、江夏君の声がしたが私は振り返らなかった。
エントランスを出たところで、私は見知らぬ包丁を持った男と出会す。
くたびれたTシャツに、下は白いジャージを着ていて腕には刺青が入っている。
(えっ? 誰? 私を睨んでる。怖い⋯⋯)
「桜田未来、お前のせいで俺の人生めちゃくちゃだよ。せっかく決まった仕事も辞めさせられてよお⋯⋯」
私の名前を知っている目の前の男を私は知らない。
酔っ払っているのか、薬物をやっているのか目も虚だ。
私は人に恨みを買うようなことをした記憶もない。