10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
「あの、どなたかは存じ上げませんが、人違いかと思います。それに、この辺りは防犯カメラも沢山あるので刃物はしまった方が良いですよ」
 震える声で私は冷静に語るも、その言葉が彼の逆鱗に触れた。

「お前は、本当に偉そうに正論かざしやがって! 社会のド底辺のくせに! 俺はもう失うものは何もないんだよ」

 男が私に向かって包丁を両手に構えて突進してくる。
 私は恐怖のあまり目を瞑った。
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