10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
ぐったりした手を垂らしながら、江夏君はストレッチャーに乗ってそのまま手術室に運ばれてしまった。
私は持っていたクラッチバッグを男に襲われそうになった時に、落としてしまった事に気がついた。気がつくと江夏君の黒いビジネスバッグを抱えていたので、その中を探り彼のスマホを出す。
触ってみると、ロックが掛かっていて画面が開かない。
(ご家族に連絡しなきゃいけないのに、どうしよう⋯⋯電話番号が分からない)
手術室前の病院の廊下をウロウロしていると、黄緑色の公衆電話が目に入った。
「江夏君のご家族の電話番号さえ分かれば連絡がとれるのに⋯⋯私、冬馬さんにも連絡しないと」
冬馬さんの番号は、彼が私のスマホに電話番号を入力した時に見えたので記憶にあった。
電話番号を押した途端、すぐに冬馬さんが電話先に出てくれた。
『もしもし、未来?』
彼の声を聞いたら、なぜか涙が溢れ出した。
「冬馬さん⋯⋯待ち合わせ場所に行けなくて申し訳ございません。大切な顔合わせの席なのに。今、私、港区病院にいます⋯」
『今すぐ、行くから』
冬馬さんが来てくれると思うと冷静になれた。
私は持っていたクラッチバッグを男に襲われそうになった時に、落としてしまった事に気がついた。気がつくと江夏君の黒いビジネスバッグを抱えていたので、その中を探り彼のスマホを出す。
触ってみると、ロックが掛かっていて画面が開かない。
(ご家族に連絡しなきゃいけないのに、どうしよう⋯⋯電話番号が分からない)
手術室前の病院の廊下をウロウロしていると、黄緑色の公衆電話が目に入った。
「江夏君のご家族の電話番号さえ分かれば連絡がとれるのに⋯⋯私、冬馬さんにも連絡しないと」
冬馬さんの番号は、彼が私のスマホに電話番号を入力した時に見えたので記憶にあった。
電話番号を押した途端、すぐに冬馬さんが電話先に出てくれた。
『もしもし、未来?』
彼の声を聞いたら、なぜか涙が溢れ出した。
「冬馬さん⋯⋯待ち合わせ場所に行けなくて申し訳ございません。大切な顔合わせの席なのに。今、私、港区病院にいます⋯」
『今すぐ、行くから』
冬馬さんが来てくれると思うと冷静になれた。