🕊 平和の子 、ミール🕊  ~新編集版~
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「日本からのご支援に心から感謝すると共に御礼を申し上げます」
 総理と握手をしたウクライナ大使の声には感謝の思いがあふれていた。
 総理は笑みで応えてから、「今後もできる限りの支援をさせていただく覚悟です」と、3月11日に実施した1億ドルの緊急人道支援に加えて新たな支援を提供する意思があることを伝えた。
「ありがたいことです。早速本国に伝えます」
 大使が頭を下げると総理はまた笑みで応えて、「避難民の受け入れも積極的に行う予定です」と伝えた。
 
 政府は日本に在住するウクライナ人の家族や知人を受け入れることを公に表明していた。
 それも短期滞在だけでなく、就労も可能な1年間の在留資格を与えるという今までにないものだった。
 それに呼応して各都道府県が独自の取り組みを始めていた。
 例えば東京都では最大で700戸の都営住宅を準備するだけでなく、相談窓口を設けて、4か国語で対応すると発表した。
 更に、民間企業においても支援の声をあげる企業が相次いだ。
 住宅の提供や生活支援を申し出たのだ。
 それは『難民に対して冷たい国』というイメージを覆すものであり、新たな貢献を示すものだった。

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