🕊 平和の子 、ミール🕊  ~新編集版~
 1985年のイラン・イラク戦争において、48時間後にイラン上空を飛ぶ飛行機は民間機を含めてすべて撃ち落とすという声明をサダム・フセインが発表した。
 これによってテヘランに取り残された日本人が窮地(きゅうち)に立たされる。
 それを救ってくれたのがトルコ政府だった。
 期限まであと1時間という中、危険を顧みずに救援機を2機派遣し、215名全員を救出したのだ。
 それは、トルコ人がまだ500名残っているにもかかわらず優先して行われた。
 自国民は陸路で脱出させ、日本人を飛行機に乗せたのだ。
 その理由はエルトゥールル号の恩返しだった。
 100年も前のことをずっと恩義に感じてくれていたのだ。
 その後も良好な関係が続いている。
 
 なるほど、
 ほとんど知っていることとはいえ、改めて読み返してみると感銘を受けざるを得なかった。
 明治時代の大島の島民に対しても、100年後の恩返しに対しても。
 芯賀はしばらく目を瞑ってそのことに感じ入っていた。

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