🕊 平和の子 、ミール 🕊 【新編集版】
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「かわいそうに……」
 ナターシャの視線の先にはニュースを読み上げるアナウンサーの姿と字幕があった。
『タリバンが女子教育の再開を停止』
 アナウンサーの姿が消えると、若い女性の泣き顔が映った。
 登校してきた女生徒たちだった。
 ヒジャブを身に着けていたにもかかわらず、タリバン側が「正しいヒジャブを着けていない」とクレームをつけたのだ。 
 その結果、再開当日に停止が言い渡される事態となった。
 
 すぐさま国連は非難した。
 アフガニスタン支援ミッションは「本日のタリバンの発表を遺憾に思う」と非難した。
 しかし、状況が変わることはなかった。
 非難はなんの効果もないのだ。
 タリバンは一笑にふすだろう。
 外国からとやかく言われる筋合いはないと。
 
「本当にかわいそうだね」
 同情するような夫の声が聞こえた。
 見ると力なく首を振っていた。
「こんなことになるとはね……」

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