🕊 平和の子 、ミール 🕊 【新編集版】
 あとは上の棚だけになった。
 神頼みをして左端の扉を開けた。
 二段になっていたが、下には缶詰が、上には即席?があるだけだった。
 
 中央の扉を開けた。
 ここにもなかった。
 未使用の食器をしまった箱がいくつかあるだけだった。
 
 残るは右端の棚だけになった。
 恐る恐る扉を開けると、ここも二段になっていた。
 下にはアルミホイルや食品包装用ラップフィルム、フリーザーバッグなどがびっしりと隙間なく並べられていた。
 上も同じようにキッチンペーパーやコーヒーフィルターが上から下までびっしりと積み重ねられていた。
 まるで壁を作るように。
 
 見つめていると、ふと違和感を覚えた。
 余りにも整然としているからだ。
 案の定、すべてを取り除くと、白い箱が現れた。
 上下に各一つ。
 取り出して中を見ると、下の段の箱には領収書が入っていた。
 電気や水道、ガス、それにスマホやクレジットカードに関する領収書が直近2年分ほど個別に分けてしまわれていた。
 しかし、それ以外の書類はなかった。
 
 上の段の箱には契約書などが入っていた。
 マンションや生命保険、クレジットカードやスマホの契約書だ。
 それから、株取引関係の書類や自動車関連の書類も入っていた。
 しかし、妻の居場所を教えてくれるような書類はなかった。

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