🕊 平和の子 、ミール🕊  ~新編集版~
「お疲れさまでした」
 ショルツ首相を見送った総理を芯賀が労った。
「君こそご苦労だった」
 まさか労ってもらえるとは思っていなかったので、芯賀は慌てて深く頭を下げた。
「ありがとうございます。恐縮です。それにしてもショルツ首相の日本重視の姿勢には感銘を受けました。嬉しい限りです」
「そうだな。安倍=メルケルのようなぎくしゃくした関係では対ロシア、対中国で足並みを揃えることはできないから、今回の会談はとても重要だった。新たな日独関係のスタートを切るためには今までの疑心暗鬼(ぎしんあんき)払拭(ふっしょく)する必要があったが、それができたことは間違いない。今後ますます流動化する世界情勢に対応するためにはG7が一枚岩にならなければならないのは明白で、そういう意味では小さくない一歩を踏み出せたと言ってもいいだろう」


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