🕊 平和の子 、ミール 🕊 【新編集版】
「妻は本当にロシアへ行ったのでしょうか」
彼女を家に送り届けたあと、ホテルの部屋で倭生那はミハイルと向き合った。
「わかりません。そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
ミニバーから取り出したウイスキーの小瓶を開けながらミハイルが首を揺らした。
「それに、彼女が私たちに協力してくれるとはとても思わないのですが」
ミハイルから返事はなかった。
グラスにウイスキーを注いで口に運んだだけだった。
その琥珀色の液体を見ていると、無性に飲みたくなった。
あの日以来禁酒をしているので体が欲していた。
しかし、飲み始めたら止まらないことはわかり切っていたので、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してゴクゴクと飲んだ。
「泳がせておけばいいんです」
なんでもないというような言い方だった。
「そのうちボロが出ます」
明日から別の探偵を張り付けるという。
「この面は割れていますからね」
残りのウイスキーをぐっと煽って、グラスをテーブルに置いた。
そして、「では」と言い残して部屋から出て行った。
彼女を家に送り届けたあと、ホテルの部屋で倭生那はミハイルと向き合った。
「わかりません。そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
ミニバーから取り出したウイスキーの小瓶を開けながらミハイルが首を揺らした。
「それに、彼女が私たちに協力してくれるとはとても思わないのですが」
ミハイルから返事はなかった。
グラスにウイスキーを注いで口に運んだだけだった。
その琥珀色の液体を見ていると、無性に飲みたくなった。
あの日以来禁酒をしているので体が欲していた。
しかし、飲み始めたら止まらないことはわかり切っていたので、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してゴクゴクと飲んだ。
「泳がせておけばいいんです」
なんでもないというような言い方だった。
「そのうちボロが出ます」
明日から別の探偵を張り付けるという。
「この面は割れていますからね」
残りのウイスキーをぐっと煽って、グラスをテーブルに置いた。
そして、「では」と言い残して部屋から出て行った。