異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
 真っ黒で、怖そうで、強そうな巨体。
 
 無理でしょ?
 剣なんて刺さらないでしょ?

 ドラゴンが羽ばたくだけで強風が吹き、尻尾で木が倒れる。
 鋭い爪が騎士達に襲いかかり、ジョンの腕を引っ掻いた。

「ジョン!」
「大丈夫!」
 ミサキは来るなとジョンが叫ぶ。

 どんどん怪我をしていく騎士達。
 震えて何もできないままミサキはドラゴンと騎士の戦いを見ているしかなかった。

 ジョンもクレイグもユーイもたぶんもう戦えない。
 血が腕から出ていて剣を持つ手が震えている。

 怖いけれど、行く?
 行って治せばまた彼らは戦える。
 でも怖い。
 ここから出るのが怖い。

 ディーもルイスも無傷じゃない。

 怪我を治すって決めたのに。
 怖くて動けない。

「ディー! ミサキを」
「は?」
『ミサキを頼む。あいつだけはレオの所に連れてってくれ』
 ミサキだけは無事に戻してやらないといけないと言うルイスにディーはギリッと奥歯を噛み締めた。
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