異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
『ルイス! お前、ふざけんなよ! 連れて行きたきゃ自分で連れて行け!』
 ディーがドラゴンに斬りかかると、ルイスの青い眼が揺れた。

『隊長! 俺らもまだ終わる気ねぇっす』
 ガイルも斬りかかると、マリウスも腕を振り上げる。

 満身創痍。
 今の彼らを一言で表現するならたぶんこの言葉だろう。

 なんと言っているかわからないけれどディーの言葉の後、みんなのやる気が変わった気がする。

 私、怪我を治すって決めたのに、こんな所にいたらダメだ。
 あの木の下まで走って、クレイグとユーイに触る。
 ジョンに来てもらって、あとは順番に木の下に呼ぶ!

 簡単な作戦を立てるとミサキは飛び出した。

『馬鹿! ミサキ! 来るな!』
 ルイスの声が聞こえるけれど、ミサキは必死で木の下まで走った。

『ユーイ、腕を』
 血が流れる腕に触れ、肉がえぐれている足に触れる。

「ありがとうミサキ」
 行ってくると立ち上がるユーイ。
 次はクレイグ、ユーイと交代したジョン。
 ビル、ガイル、レスターと交代しながら治癒を行った。

「ディー。ルイス」
 ディーの足と肩を治しながらルイスを呼んでと頼むミサキ。

『ミサキがいて良かったよ。ありがとう』
 ディーがミサキの髪を耳にかけながら微笑む。
 ミサキの手はみんなの血で染まり、使えないからだ。
 
 だんだん暗くなっていく山の中。
 このまま日が暮れればドラゴンの方が有利。
 早く決着をつけてしまいたい。

 ルイスを治し、全員で一気に斬りかかる。
 それしか方法はない。

「ルイ! ここへ」
 ディーの声とほぼ同時にドラゴンの爪がルイスの頭を引っ掻く。

「ルイス!」
 ミサキは木の下から飛び出した。
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