異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

37. 責任

「レオナルド様、川の水が戻ったと大臣から連絡がありました」
「ルイ! あぁ、良かった。無事なのだな」
 流石ルイスだとレオナルドは拳を握り喜んだ。

「20日ほどでこちらに戻ると思いますが、夜会は2ヶ月後で調整するそうです」
「そうか。ミサキのドレスを準備して。あぁ、でも何色が良いか聞いてからでも間に合うか?」
「3週間あれば大丈夫だと思います」
 早く会いたいと嬉しそうに目を細めるレオナルド。
 
 補佐官チャールズは水が戻ったことに安堵し、胸を撫でおろした。


「……そうか」
 アンベルの街に住んでいる医師にミサキを診察してもらったルイスは身体の横でギュッと拳を握った。

 処置は適切だったが傷は一生消えないと医師は告げた。
 さらに抉られた部分を縫い合わせたため背中を丸めるような動作はできない。
 右肩から右手まで麻痺が残り、最悪の場合はこのままずっと右手が使用できないと言う医師の言葉に、ルイス、ディー、ビルは息をのんだ。

「王都までの薬草とサラシ、あとは痛み止めの飲み薬をお渡しします」
「ビル、受け取ってきてくれるか?」
「もちろんです」
 医師の診療所までビルが取りに行く。

 ルイスは右手で顔を覆いながら大きく息を吐いた。

「俺のせいだ」
「違う」
「一生使えないなんて」
 償いきれないと言うルイスの背中をバシッと叩くとディーはしっかりしろと励ます。

「ツラいのはミサキだ。お前が腕の代わりになれ」
 落ち込んだらミサキが不安になると言うディーに、ルイスは切なそうな顔で頷いた。
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