異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
38. 治らない
「……ミサキが怪我?」
宰相宛に届いた報告書に同封されていたチャールズ宛の手紙を握りしめながら、レオナルドは何度も文章を読み返した。
ルイスが聖剣でドラゴンの首を突き刺し撃退。
川を堰き止めていたドラゴンの巣も撤去。
任務完了を知らせる内容の手紙だった。
ルイスを含む騎士達は聖女ミサキのお陰で全員無事。
ミサキは背中から肩にかけてドラゴンの爪で抉られた傷があり、5日間発熱。
ガーヴィの街でようやく意識を取り戻し、命には別状なし。
このあとアンベルの街で医師の手当てを受けてから帰るため、報告書を先に送る。
ルイスの補佐官ディーからの手紙にはそう書かれていた。
「熱が下がれば傷は自分で治すから問題ないな」
「……おそらく、ミサキ様は自分の怪我を治すことはできません」
ここを出て行くきっかけになった日、怪我は治らなかったと侍女ナタリーから報告があったと補佐官チャールズが言うとレオナルドは目を見開いた。
「治らないとは?」
「我々が怪我をした時と同じです」
だからドラゴンの爪の傷により熱が出て5日も苦しんだのだろうとチャールズが言うと、レオナルドは再び手紙を読み返した。
誰のせいでもなく、結果的に怪我をしてしまったこと。
聖女として騎士達全員を助けるために必死に動いてくれたこと。
言葉が通じない中、とても明るく騎士達とも関係は良好だったこと。
自分も含め、騎士達はドラゴンを倒すことに必死だったこと。
ディーの手紙の終わりには「どうか誰も責めないでください」と懇願する文が書かれていた。
「責めないでください?」
「あくまで想像ですが、ミサキ様は傷が残るほどの大怪我なのではないでしょうか?」
レオナルド殿下の想い人である聖女を守りきれなかった我々を許してくださいという意味ではないかと。
「早く王都へ戻って来てくれる事を祈りましょう」
「……そうだな」
早くミサキの無事を確認したいとレオナルドは手紙をチャールズに返しながら目を伏せた。
宰相宛に届いた報告書に同封されていたチャールズ宛の手紙を握りしめながら、レオナルドは何度も文章を読み返した。
ルイスが聖剣でドラゴンの首を突き刺し撃退。
川を堰き止めていたドラゴンの巣も撤去。
任務完了を知らせる内容の手紙だった。
ルイスを含む騎士達は聖女ミサキのお陰で全員無事。
ミサキは背中から肩にかけてドラゴンの爪で抉られた傷があり、5日間発熱。
ガーヴィの街でようやく意識を取り戻し、命には別状なし。
このあとアンベルの街で医師の手当てを受けてから帰るため、報告書を先に送る。
ルイスの補佐官ディーからの手紙にはそう書かれていた。
「熱が下がれば傷は自分で治すから問題ないな」
「……おそらく、ミサキ様は自分の怪我を治すことはできません」
ここを出て行くきっかけになった日、怪我は治らなかったと侍女ナタリーから報告があったと補佐官チャールズが言うとレオナルドは目を見開いた。
「治らないとは?」
「我々が怪我をした時と同じです」
だからドラゴンの爪の傷により熱が出て5日も苦しんだのだろうとチャールズが言うと、レオナルドは再び手紙を読み返した。
誰のせいでもなく、結果的に怪我をしてしまったこと。
聖女として騎士達全員を助けるために必死に動いてくれたこと。
言葉が通じない中、とても明るく騎士達とも関係は良好だったこと。
自分も含め、騎士達はドラゴンを倒すことに必死だったこと。
ディーの手紙の終わりには「どうか誰も責めないでください」と懇願する文が書かれていた。
「責めないでください?」
「あくまで想像ですが、ミサキ様は傷が残るほどの大怪我なのではないでしょうか?」
レオナルド殿下の想い人である聖女を守りきれなかった我々を許してくださいという意味ではないかと。
「早く王都へ戻って来てくれる事を祈りましょう」
「……そうだな」
早くミサキの無事を確認したいとレオナルドは手紙をチャールズに返しながら目を伏せた。